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とにかく萌えを吐き出す為に作ったので 何も萌えが無い時は失踪するかもしれません。18歳未満閲覧禁止。

愛のかたち 9
『そろそろ終わります詐欺』でホントにすみません(苦笑)
あまりダラダラ続けてもと思いつつ、ダラダラと…
簡潔にまとめられる文才を私にください。(切実)

拍手をくださっている方ありがとうございます!励みになります。
こんな独りよがりな妄想にお付き合いくださるなんて…。
本当になんかすみません…。よろしければ、もう少しお付き合いくださいませ。

それでは続きからどうぞ








次の日、家に戻った百合子の元に瑞人がやってきた。藤田から話を聞いたのだろう、駆けつけてきた瑞人の表情は悲しみに満ちていた。
藤田が椅子を差し出すよりも早く、百合子が寝ている寝台の傍に膝を付き、痩せ細った手を握り締めて何も言わず、ただ百合子を見つめる。
「お兄様…ごめんなさい…。」
先に逝ってしまうであろう事を百合子は詫びた。
瑞人は無言で首を横に振り「お前は幸せだったかい?」と問うた。
「えぇ、とても幸せだったわ…。今も幸せよ。」
百合子の儚げな笑みに瑞人は、ただ優しく「そうかい。」と一言漏らしただけだった。
瑞人の帰り際、百合子が実家のことを頼むと「まぁ、やってみるよ。」と苦笑しながら部屋を出て行った。
入れ替わりに秀雄がやってきた。
どこぞの令嬢と結婚したと聞かされていたので秀雄が来るとは夢にも思わなかった。
「どうしたの?」
余りに驚いたので、そんな言葉がつい口をついて出た。
上半身を起こそうとしたが、秀雄がそれを手で制す。
「どうしたの、じゃないだろう。瑞人君から話を聞いたんだ。」
兄と秀雄は仲が悪いと思っていた百合子は、未だそんな風に繋がっていることを嬉しく思った。
近くにあった椅子を藤田が差し出す。秀雄はそれに座り、痛ましい姿の百合子を見つめた。
「それで、身体はどうなんだ。」
「ふふ…駄目みたい…。」
「百合子…。」
事も無げに言う百合子に秀雄は何も言えなかった。
それからは病のことには一切触れずに、お互いの近況を話した。
嫌われていると思っていた秀雄から、昔のように色々と話が出来て百合子は楽しかった。
秀雄が帰った後は静寂が部屋を満たして少し寂しくなる。心細くなり始めたころ、秀雄を見送った藤田が部屋へ戻ってきた。百合子は、ほっと息をつく。
やはり藤田は、かけがえの無い者なのだと、百合子は改めて思った。空気と同じ、無くては息もできずに死んでしまう。
「姫様、なにか欲しいものは、ございますか?」
「お前が欲しいわ。」
寝台の傍に跪いて尋ねる藤田に、百合子は冗談交じりに言った。
「姫様…。」
藤田の困った顔を見てくすりと笑うと「冗談よ」と付け加えた。
「困った姫様ですね。」
さほど困った風でもなく言うと、藤田は百合子の唇に口付ける。百合子はまるで初心な少女のように嬉しくなった。
「他に何かございますか?」
「そうね…鏡子様とお話がしたいわ。」
百合子は藤田の事が気掛かりだった。自分が死んだ後、用済みとばかりに屋敷から放り出されたらと考えると気が気ではなかった。
藤田の事を頼んだからといって鏡子が了承するかなど分かりもしなかったが、百合子には、このことで頼れるのは鏡子以外にいないと思った。
「かしこまりました。」
一礼をし、鏡子に電話をかけてくるのか、藤田は、また部屋を出て行った。
百合子は鏡子に何と言って頼もうかと思案した。
一応、百合子の隠し棚には少しばかりの貯えがある。この隠し棚は昔、別荘のあった箱根で両親に買って貰ったもので、普通に引き出しただけでは中身が出てこないようになっている。気に入っていたものだったから嫁いだ時に持って来たのだが、これが百合子の隠し金庫になっていることは藤田以外誰も知らない。もっとも、百合子が小さい時に藤田に内緒話として戯れで一度話しただけだから忘れているかもしれないが…。
とにかく、このお金は斯波にも知られていないお金だ。何かの為にと貯めていたものが、こうして役に立つ時が来るとは思っていなかった。
ただ、鏡子にとっては、はした金だろうことは容易に想像がついた。
受け取ってもらえるのか、百合子の頭に不安がよぎった。


鏡子が来たのは、それから小一時間経ってからだった。
驚いて体を起こそうとすると、傍にいた藤田が百合子の身体を手で支え助ける。
寝台に腰を掛け、そばにあった上掛けを引き寄せて肩から掛けた。
藤田が鏡子に椅子を差し出すと、優雅なしぐさで座る。
来てもらえるのは明日以降だろうとばかり思っていた百合子は、無理をさせたのではないかと鏡子に謝った。鏡子は手を左右に振り、「ユリさんの為ならなんてことはないわ」と言い退ける。
その軽い口調に百合子の心は軽くなった。
「藤田、鏡子様と二人きりで話がしたいの。ドアの外で待っていてちょうだい。」
「お茶はどういたしましょう?」
「私が呼ぶまで待ってて。」
百合子の命令に少し不安そうな色が藤田の顔を掠めたが、すぐに戻り「かしこまりました」と一礼をして出ていった。
ドアの閉じた音を確認して鏡子が口を開く。
「それで、ユリさんのお話って?」
「実は…こんなことを鏡子様に、お願いするのは心苦しいのですが…。」
少し俯いて言いよどんだが、決意したかのように顔を上げ、鏡子の眼をまっすぐに見る。
「私が死んだあと、藤田のことをお願いできないでしょうか…。」
「あの混血児(あいのこ)のことを?そりゃあ構いませんけど………。あぁ、なるほどねぇ…。」
少しの間の後、なにか合点がいったかのように一人で納得すると、笑みを浮かべながら百合子に囁く。
「ユリさん、もしかして、あの混血児のことを?」
 答えの代りに百合子は頷いた。
 「そう。それじゃあ斯波さんには頼めないわねぇ。」
 「鏡子様には本当に申し訳ないと思うのですけど…こんなことを頼めるのは鏡子様しか居なくて…。鏡子様には微々たるものでしょうが、お礼も用意してありますの。」
そう言って百合子は、ゆっくりと立ち上がって隠し棚のところまで歩いて行き、中から少し厚めの封筒を取り出すと鏡子にそっと差し出した。
 「ユリさん、繁子さんの娘のあなたから、お礼なんて受け取れないわ。」
 鏡子は掌で押し返すが、百合子は引かなかった。
 「鏡子様…そのように言っていただけるのは嬉しいですわ。ですが、これは保険でもあるのです。」
 「保険?」
 鏡子は不可解そうな面持ちで百合子に聞き返した。
 
 
藤田はドアの前で、気を揉んでいた。
今、百合子と二人きりで話しているのは、あの天海の奥様だ。色々とよくない噂は聞いている。病床に伏している百合子に何かするとは思わないが、何を話すのか聞いていない藤田にとっては心配するのも無理はなかった。
(遅い…。姫様は何のお話をされているんだ……。)
懐中時計を見ると、かれこれ10分は経っている。そんなに話し込むようなことなのかと、なにか焦りにも似た感情が湧きあがってくる。
藤田は、我慢も限界と、お茶を口実に中の様子を確認することにした。
控え目にドアをノックし中にいる百合子に呼びかける。
「奥様、お茶をお持ちしてもよろしいでしょうか?」
中から「お願い」と微かに聞こえた声を確認して、厨房へお茶を入れに行く。
お盆に紅茶とお菓子を乗せて足早に百合子の部屋へと急いだ。
「お茶をお持ちしました。」
声をかけてドアを開けると、華やかな笑い声が聞こえる。楽しそうな部屋の空気に、藤田は安堵したと同時に百合子の笑顔が嬉しかった。

しばらく話し込んでいたが、これから用事があると言って鏡子が席を立った。
「また来るわね、ユリさん。後は私に任せておいてね。」
その言葉を残して部屋を後にする。藤田も見送りの為に部屋から出て行った。
鏡子は玄関まで見送りにきた藤田に、「何か困ったことがあれば私のところに来なさい」そう言って去って行ったが、藤田には何の事だか分らなかった。
ただ、来る時には持っていなかったはずの封筒を手にしていたことだけが気掛かりだった。
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