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とにかく萌えを吐き出す為に作ったので 何も萌えが無い時は失踪するかもしれません。18歳未満閲覧禁止。

甘美な響き


ぎゃぁーっ! 広告が上に来てしまってる!!
すみません、お久しぶりです。なんとか夏バテを回避できたコバミロです。
皆様は大丈夫でしたでしょうか?
まだ暑い日が続くと思いますので熱中症や体調を崩されませんよう
お気をつけ下さいませ。


本当に久しぶりにふじゆりが書きたくなったので、
思いつくまま書いてみました。
ふじゆりというか、ふじゆりになる前の段階ですね。
あの事件の前日をちょろっと書いてみました。
事件の前日って、文崋さん書いていらっしゃいましたっけ?
ま、まぁ、いいか。(;´д`)

甘甘ではありませんが、よろしければ続きからどうぞ~。






「藤田、ちょっと」
「はい、奥方様」
 甲高い声に呼ばれ、私は主のもとへ向かう。
 明日は姫様が御誕生された日だ。そして未来の夫への御披露目でもある。何か粗相があってはならない。いつも以上に神経を使わなくては……。
 息を吐く間も惜しみ動き回る。それは苦痛ではない。だが、心の奥に棘の様なものが刺さっているような、何かを忘れているようなもどかしさを感じていた。

 奥様に命ぜられるまま屋敷の中を駆けずり回っていると、どこか不安そうな表情で庭の木を眺めている姫様に会った。
「姫様、どうかされましたか?」
 どこか愁いを帯びた横顔が気になり、思わず声をかけた。姫様は弾かれたように顔をこちらに向ける。
 突然声をかけてしまったせいだろう、大きな眼は見開き、驚いて声も出ない様子だった。
「驚かせてしまい、申し訳ございません。姫様が物憂げな眼差しで木を見上げていたので、何かあるのかと思わず声をかけてしまいました」
 私の言葉に姫様は口元を綻ばせると、軽く左右に首を振った。
「何も無いわ。ただ、皆がいつもと違う様子が気になっただけ」
「そうでしたか……」
 それ以上言葉を交わす事もなく、姫様はまた木へと視線を戻す。その横顔は今まで見てきた姫様とは違う、女の顔だった。
 この美しい横顔を傍で見られる男は、一体どのような人物なのだろうか。全ては明日、決まる。この事に関して 姫様には拒否権などない。そう遠くない日に姫様はここから居なくなるのだ。
 感慨に耽りそうになり、私は軽く頭を振って雑念を打ち消す。
 まだだ、まだ感傷に浸るには早い。今は明日の準備に集中しなくては……。
「それでは姫様、失礼いたします」
 その場から離れようと一礼した時、私の背広のボタンに姫様の髪が絡まっているのに気付いた。
「申し訳ございません。姫様の御髪が私のボタンに絡まってしまいました。今外しますので、少々お待ち下さい」
「髪の毛なんて切ってしまえばいいのに」
 ちらりと一瞥して事も無げに仰る姫様に、私は慌てた。
「何を仰るのですか! 髪は女性の命とも言います。たとえ髪の毛一本でも姫様の御身体に傷などつけられません!」
 私の必死な口振りが可笑しかったのか、姫様は小さく笑った。
「藤田ったら、真面目なんだから」
「真面目や不真面目などの問題ではありません。だいたい姫様は……」
「もう、分かった。分かったから早く解いてちょうだい」
 私の小言を聞きたくないとばかりに姫様は慌てて遮ると、顔を背けてしまわれた。
「は、はい。かしこまりました」
 私はすぐに姫様の髪を解こうと、傷めないように慎重に絡まっている髪を触った。
 しかし、解こうとすればするほど余計に絡まってしまったのか、なかなか取れない。苦戦しているのが分かったのか、姫様も私の手元をじっと見つめている。
 いっそのことボタンを引き千切ってしまおうかと考えた時、姫様が口を開いた。
「まるで、お前と離れたくないみたいね……」
 その瞬間、私の心臓が跳ねた。
 手の中の硬い感触に気付き、そっと広げて見てみれば、茶色の丸いボタンが一つ掌にあった。姫様の言葉に動揺した時、思わず引き千切ってしまったのだろう。
「ボタンを引き千切るなんて乱暴なことしなくても、私の髪を切ってしまえばよかったのに……」
「い、いえ。ボタンは付ければいいだけですから」
 姫様の残念そうな呟きに返答した声は、自分でも情けないくらいに動揺していたが、姫様に気付かれなかっただろうか?
「それでは、用事がありますので、失礼いたします」
 私は逃げ出す様に一礼をしてその場から走り去った。
 姫様の発した言葉に意味などないのだろう。そう自分に言い聞かせ、明日の支度を再開する。
『まるで、お前と離れたくないみたいね……』
 先程の言葉が頭の中で繰り返される。
 甘美な響きのその言葉は、私の心を縛り付けた。




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