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とにかく萌えを吐き出す為に作ったので 何も萌えが無い時は失踪するかもしれません。18歳未満閲覧禁止。

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愛のかたち 10
今回で終わります!
話がだらだらと長くなってすみません…。

よろしければ続きからどうぞ










それからの百合子は見る間に衰弱していった。歩くことも儘ならなくなり、部屋から出ることが難しくなった。
斯波は見かねて入院するように説得し、百合子は承諾した。藤田が甲斐甲斐しく百合子の世話をしていたが、これ以上迷惑をかけたくないと考えてのことだった。


病院の寝台に横たわって窓を見ると、青く澄んだ空が広がっていた。急に外が見たくなった百合子は窓の傍に連れて行って欲しいと藤田にせがむ。
「かしこまりました。」
藤田が微笑み百合子を横抱きに抱き上げ、窓の近くまで連れて行く。百合子の身体は羽のように軽く、このまま消えてしまうのではないかと思うと藤田の胸は苦しくなった。
窓から外を見下ろすと、木々からは葉が消え、寒々しい光景が広がっている。それが、まるで自分の身体と同じように思えて急に怖くなり、藤田の首に腕をまわす。
(私はいつまでなのだろう…)
「愛してるわ、藤田。」
不安を隠すかのように呟き、背広(スーツ)の硬い生地越しに感じる厚い胸板に頬を擦り付けながら、藤田の顔を見つめる。百合子を見つめる藤田の眼もまた、優しい色をしていた。
「姫様…。私も姫様を愛しております。」
少しの間、二人は見つめ合った後、どちらからともなく唇を重ね合わす。ゆっくりとお互いを慈しむ様に、舌を絡ませ歯列をなぞり唇を吸った。まるで心に刻みつけようとしているようにも見える。二人だけの幸せな一時だった。

次の日の朝、藤田はいつものように病室のカーテンを開け、朝日を入れる。
―― 藤田
ふと百合子に呼ばれたような気がして寝台の傍へ向かう。
「姫様?」
藤田が呼びかけると百合子は薄っすらと目を開け視線だけを藤田に向けた。
―― ありがとう…
口を僅かに動かし、声にならない声で一言告げた後、百合子は静かに息を引き取った。
「姫様!」
大声で呼びかけ身体を揺する。藤田の声を聞き、バタバタと慌ただしく医師が病室に駆けつけ、百合子の脈を診た。数分の後、医師は静かに腕を下ろし頭を左右に振った。
「……!!」
藤田は呆然とする頭を振りながら懸命に執事の顔を保とうとした。崩れ落ちそうになる足を必死で奮い立たせ、電話機のところまで行き、屋敷と野宮家へ連絡を入れた。
病室に戻ると、百合子の顔は白い布で覆われていた。その姿を見た瞬間、すうっと頭が冷え、気持ちが落ち着いていくのを感じる。
藤田は手ぬぐいを濡らしてくると、百合子の眠る寝台へと近づき、そっと布をはずした。百合子の顔を手ぬぐいで丁寧に拭き、髪を櫛で梳かす。
「姫様…ようやく御屋敷にお戻りになれますよ…。今、殿様や斯波様が、いらっしゃいますから、綺麗にいたしましょうね…。」
目を開けることのない百合子に話しかけながら、丁寧な手つきで身体を綺麗にしていく姿は、一種の神聖な儀式のようにも見える。それは瑞人たちが来るまで続けられた。


百合子の葬儀は藤田が仕切った。斯波が家令に言って藤田に全て任せるようにさせたからだった。
使用人たちは藤田に任せられるのかと猜疑の目で見ていたが、野宮家の家令を勤めていたこともあって老巧非凡な手腕を発揮させ、周囲の者を驚かせた。
葬儀の最中、藤田の許に鏡子がやってきた。喪服を着ていても中の豊満な肉体は隠しきれず、周囲に色香を放っている。混血児の執事と妖艶な美女の組み合わせに周囲の使用人たちは好奇の眼差しを向けるが、素知らぬ顔で藤田に話しかけた。
「お前、これからどうするの?」
「どういうことでしょうか?」
「この屋敷でずっと働くのか聞いてるのよ。行くところがなければ、うちで雇うわよ。」
「お誘いは大変有難いのですが、私の主は姫様ただ一人でございますので。申し訳ございませんが、お断りさせていただきます。」
鏡子の誘いを、きっぱりと断り、深々と一礼して去っていく藤田の後姿を、鏡子は見つめながら呟いた。
「ユリさん、どうやら保険を使うことになりそうだねぇ…。」と。


葬儀が無事に終わり一段落ついた頃、斯波に、百合子の骨箱が置いてある部屋へと呼び出された。何事かと行ってみると、和紙に包まれたものを渡される。
和紙をそっと開いてみると、百合子の遺髪が入っていた。
「これは……、私などが頂いてもよろしいのでしょうか…?」
形見分けなどさせてはもらえないと思っていた藤田は驚きのあまり斯波に問うた。
斯波は無言で肯き、部屋を出て行く。藤田は斯波の情けに感謝した。

位牌の前に正座をすると、藤田は口を開いた。
「姫様…私の最後の仕事も終わりました。そろそろ姫様のお傍に行ってもよろしいでしょうか…?」
―― 馬鹿ね、私の事なんか忘れてしまえばいいものを
呆れる百合子の声が聞こえる気がした。
「私には姫様が全てですから。」
藤田は薄く笑うと、遺髪を握り締め、書き置きを残して屋敷を出た。
夜中だったが、月の光が明るく足元を照らす。川の水が流れる音を聞きながら、ゆっくりと河原を歩く。頬を刺す風は冷たく、冬の訪れを告げた。
「あぁ、姫様…今宵は満月です。姫様のように綺麗ですね。」
うっとりと月を見上げながら、ざぶざぶと水の中へ入っていく。冷たい水が肌を刺し、濡れた衣服がべったりと肌に張り付いて徐々に重みを増していった。遺髪を大事に内ポケットへ入れると、さらに奥まで歩いていく。
「姫様…私は姫様にお仕えすることが出来て、本当に幸せでした。今、そちらに参りますから、これからもお傍に置いてくださいませ。」
―― 仕様のない藤田。
くすくすと嬉しそうな百合子の笑い声は藤田の幻聴なのか。
何が現実か分からないまま、藤田の意識は暗い水の中へと沈んでいった。


終わり







あとがき

バッドED後なので仕方ないと思いつつ、百合子が病気になるところは辛かったです(苦笑)
話を考えていた時までは平気だったんですけどね…。
今度は明るい話にしよう!そうしよう!

入れたら不粋になりそうなので省きましたが、
百合子が言っていた『保険』というのは「藤田のお墓」のことです。
百合子の隣に建ててくれたらいいかなと思ったので鏡子さんに頼んでみました。
斯波ゴメン!ほんとゴメン!





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